ナベヅル Hooded Crane
鍋鶴
英名: Hooded Crane
学名: Grus monacha
(「修道士のツル」の意。頭部から頸部にかけての羽衣を
修道士のフードに見立てた)
全長: 96.5cm
世界のツルの都、
出水(鹿児島県)に飛来するツルの中で、最も数が多いのがナベヅルです。このところ毎年1万羽前後が飛来しており、これは世界の生息数の60-70%を占めています(I
nternational CraneGoundationは、世界の生息数は14,500-16,000羽としています)。つまり、
出水に何かあったら、ナベヅルはたちまち絶滅の危機に瀕するわけです。2010年は鳥インフルエンザのため出水は大騒ぎになりました。2014年には死んだ
マナヅルから鳥インフルエンザウイルスが検出されました。
(本ページの最下部に、出水における羽数調査の結果推移を載せています)
出水のほかに、山口県(
周南市八代)にも定期的な飛来地があります。九州でも、出水まで南下せずに諫早で越冬する家族もあります。高知にもよく飛来すると聞いています。世界のナベヅルの90%を預かる日本は、責任重大と言えるわけで、
出水から山口、あるいは高知へ、越冬地の分散を図るなど、人工的にでも、種の保全の努力をする必要があると言え、実際に西日本各地への分散計画が実行されています。2014年に、環境省が「ナベヅル、マナヅルの新越冬地形成等に関する基本的考え方」を公表、日本野鳥の会も「ナベヅル・マナヅル分散プロジェクト」を立ち上げています。
繁殖地はシベリア〜モンゴル、中国東北部です。繁殖地に帰るルート上、対馬でかなりの数が羽を休めると聞いています。卵は2個産みます。2個とも無事に育てば子離れまでは4羽の家族で暮らします。
出水のツルでもう1種類の多数派
マナヅルも同様に2個の卵を産むので、出水では4羽連れの家族のことを「しあわせ家族」と呼んでいます。
出水のツルの数は、
出水市立鶴荘学園(旧荘中学校)、高尾野中学校「ツルクラブ」の生徒が数えています。
探鶴地
ツル観察センター(鹿児島県
出水市)
ナベヅルが見られるのは10月後半〜3月。
鹿児島本線
出水駅から、冬季間のみ運行の「
出水ツル周遊バス」で30分
「ツル観察センター」下車すぐ
TEL 0996-85-5151
山口県
周南市八代のツル飛来地 「鶴いこいの里交流センター」
JR岩徳線高水駅から車で15分
車は交流センターの駐車場に置き、そこから観察場所「野鶴監視所」
までは約400m徒歩。
TEL 0833-92-0042
別のページに鳴き声ファイルを掲載しています。ページに飛ぶと音が出るのでご注意ください。
ダンス
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2013年12月
出水 |
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2018年11月
出水
(幼鳥) |
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2023年11月
出水 |
鳴き交し
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2020年11月
出水 |
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2020年11月
出水 |
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2020年11月
出水 |
けんか
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2020年11月
出水 |
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2020年11月
出水 |
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2020年11月
出水 |
飛翔
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2020年11月
出水 |
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2020年11月
出水 |
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2020年11月
出水 |
家族
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2015年12月
出水
(親子) |
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2019年12月
出水 |
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その他
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2013年12月
出水 |
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2018年11月
出水
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2018年11月
出水 |
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2019年12月
出水 |
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2019年12月
出水 |
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2020年11月
出水 |
出水以外の越冬地
出水以外の越冬地について、取材できたところから掲載していきます。
出水には1万羽を超えるナベヅルが集まっているので、つい「ツルの群れがいる」と認識してしまいますが、実はツルは家族単位で行動するものです。出水以外では数が少ないため、家族単位ということがわかりやすいと思います。
・山口県
周南市八代
戦後、100羽以上のナベヅルが越冬してきました。1989年までは50羽
を超える羽数が越冬していましたが、徐々に数を減らし、最近では
10羽に届くか届かないかという状況が続いています。
広大な出水平野とは異なり、山に囲まれた盆地となっており、いわゆる
日本の山里の風情です。
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2021年11月
八代 |
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2021年11月
八代 |
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2021年11月
八代 |
・愛媛県西条市
瀬戸内海沿い、四国が凹んでいる部分に位置する西条市の、中山川・加茂川河口付近の水田地帯にナベヅルが飛来します。2021年は
ソデグロヅルが飛来したということで訪問してみました。ソデグロヅルは発見できましたが、ナベヅルは見つけることができませんでした。広大な水田地帯で、確かにナベヅルにとって住みやすそうな環境でした。
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中山川の河口 |
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水田地帯 |
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作品集:
羽数調査結果
下記は、
出水市で実施している羽数調査の結果推移です。
羽数調査は、
出水市の2箇所のツルの塒で、年複数回実施されています。グラフには、複数回の調査のうち最も多い数字を使用しています。
2020年度は15,909羽を記録しています。
(出水市ツル博物館「クレインパークいずみ」のHPから)