ツルに魅せられて  Fascinated by Cranes

参考文献

日本野鳥の会『フィールドガイド 日本の野鳥』増補改訂版 (2007)

日本野鳥の会『A field Guide to The Birds of Japan』 (1982)

日本野鳥の会『野鳥』2013年1月号

Janice M. Hughes『Cranes - A Natural History of a Bird in Crisis』

International Crane Foundation

ナベヅル  Hooded Crane




鍋鶴

英名: Hooded Crane

学名: Grus monacha

(「修道士のツル」の意。頭部から頸部にかけての羽衣を

修道士のフードに見立てた)


全長: 96.5cm


世界のツルの都、出水(鹿児島県)に飛来するツルの中で、最も数が多いのがナベヅルです。このところ毎年1万羽前後が飛来しており、これは世界の生息数の60-70%を占めています(International CraneGoundationは、世界の生息数は14,500-16,000羽としています)。つまり、出水に何かあったら、ナベヅルはたちまち絶滅の危機に瀕するわけです。2010年は鳥インフルエンザのため出水は大騒ぎになりました。2014年には死んだマナヅルから鳥インフルエンザウイルスが検出されました。
(本ページの最下部に、出水における羽数調査の結果推移を載せています)

出水のほかに、山口県(周南市八代)にも定期的な飛来地があります。九州でも、出水まで南下せずに諫早で越冬する家族もあります。高知にもよく飛来すると聞いています。世界のナベヅルの90%を預かる日本は、責任重大と言えるわけで、出水から山口、あるいは高知へ、越冬地の分散を図るなど、人工的にでも、種の保全の努力をする必要があると言え、実際に西日本各地への分散計画が実行されています。2014年に、環境省が「ナベヅル、マナヅルの新越冬地形成等に関する基本的考え方」を公表、日本野鳥の会も「ナベヅル・マナヅル分散プロジェクト」を立ち上げています。

繁殖地はシベリア〜モンゴル、中国東北部です。繁殖地に帰るルート上、対馬でかなりの数が羽を休めると聞いています。卵は2個産みます。2個とも無事に育てば子離れまでは4羽の家族で暮らします。出水のツルでもう1種類の多数派マナヅルも同様に2個の卵を産むので、出水では4羽連れの家族のことを「しあわせ家族」と呼んでいます。

出水のツルの数は、出水市立鶴荘学園(旧荘中学校)、高尾野中学校「ツルクラブ」の生徒が数えています。

探鶴地
 ツル観察センター(鹿児島県出水市)
 ナベヅルが見られるのは10月後半〜3月。
 鹿児島本線出水駅から、冬季間のみ運行の「出水ツル周遊バス」で30分
 「ツル観察センター」下車すぐ
 TEL 0996-85-5151

 山口県周南市八代のツル飛来地 「鶴いこいの里交流センター」
 JR岩徳線高水駅から車で15分
 車は交流センターの駐車場に置き、そこから観察場所「野鶴監視所」
 までは約400m徒歩。
 TEL 0833-92-0042





別のページに鳴き声ファイルを掲載しています。ページに飛ぶと音が出るのでご注意ください。




ダンス



2013年12月
出水
作品集へ

2018年11月
出水
(幼鳥)
作品集へ

2023年11月
出水




鳴き交し



2010年12月
出水
作品集

2014年11月
出水

2014年11月
出水



2018年11月
出水

2019年12月
出水

2020年11月
出水



2020年11月
出水

2020年11月
出水

2020年11月
出水



2023年11月
出水








けんか



2010年12月
出水

2010年12月
出水

2013年12月
出水



2020年11月
出水

2020年11月
出水

2020年11月
出水



2020年11月
出水

2020年11月
出水
作品集へ

2023年11月
出水




飛翔



2014年12月
出水

2014年12月
出水

2014年12月
出水
作品集へ



2015年12月
出水

2018年11月
出水

2018年11月
出水



2018年11月
出水
作品集

2018年11月
出水

2018年11月
出水



2018年11月
出水

2018年11月
出水
作品集

2018年11月
出水



2020年11月
出水

2020年11月
出水

2020年11月
出水



2020年11月
出水

2020年11月
出水

2020年11月
出水



2021年11月
出水

2021年11月
出水






家族



2015年12月
出水
(親子)

2019年12月
出水






クローズアップ



2015年12月
出水
作品集へ








その他



2013年12月
出水

2018年11月
出水

2018年11月
出水



2019年12月
出水

2019年12月
出水

2020年11月
出水


出水以外の越冬地
 出水以外の越冬地について、取材できたところから掲載していきます。
 出水には1万羽を超えるナベヅルが集まっているので、つい「ツルの群れがいる」と認識してしまいますが、実はツルは家族単位で行動するものです。出水以外では数が少ないため、家族単位ということがわかりやすいと思います。

・山口県周南市八代
  戦後、100羽以上のナベヅルが越冬してきました。1989年までは50羽
  を超える羽数が越冬していましたが、徐々に数を減らし、最近では
  10羽に届くか届かないかという状況が続いています。
  広大な出水平野とは異なり、山に囲まれた盆地となっており、いわゆる
  日本の山里の風情です。



2021年11月
八代

2021年11月
八代

2021年11月
八代

・愛媛県西条市
  瀬戸内海沿い、四国が凹んでいる部分に位置する西条市の、中山川・加茂川河口付近の水田地帯にナベヅルが飛来します。2021年はソデグロヅルが飛来したということで訪問してみました。ソデグロヅルは発見できましたが、ナベヅルは見つけることができませんでした。広大な水田地帯で、確かにナベヅルにとって住みやすそうな環境でした。



中山川の河口
水田地帯




作品集:
ナベヅル 鳴き交し 出水 (2010)

ナベヅル 出水 (2013)

ナベヅル 鳥インフルエンザ厳戒 出水 (2014)

ナベヅル 頭のアップ 出水(2015)

ナベヅルの家族 農地の上を飛ぶ 出水(2018)

ナベヅル 若鳥のダンス 出水(2018)

ナベヅルの家族 飛翔 出水(2018)

ナベヅルの鳴き合い 出水(2020)

ナベヅルのけんか 出水(2020)



羽数調査結果

 下記は、出水市で実施している羽数調査の結果推移です。

 羽数調査は、出水市の2箇所のツルの塒で、年複数回実施されています。グラフには、複数回の調査のうち最も多い数字を使用しています。

 2020年度は15,909羽を記録しています。

 (出水市ツル博物館「クレインパークいずみ」のHPから)

   https://www.city.kagoshima-izumi.lg.jp/page/page_80092.html