ソフトウェア設計者向け情報

4.UML断章1
・・・UML(ユーエムエル)」のダイアグラム・・・

 本稿は、ソフトウェア設計者向けというテーマからは外れてしまうので、某著名作家の例に倣い「断章」としました。
UML2以降は、多くの分野で使用されています。 ご参考を兼ねて、13種類のダイアグラムの要約・用途の概要を記述しておきます。 断章1では、「構造図」と呼ばれる6つのダイヤグラムを示します。
設計者諸氏に必要なUML基本知識については、順次「ユースケース」から、設計を目的とした視点で解説をしてまいります。

▼ 本稿の内容情報
4-1.クラス図:使用頻度が高い
4-2.コンポーネント図
4-3.コンポジット図
4-4.配置図
4-5.オブジェクト図
4-6.パッケージ図

4-1.クラス図

*要約:
 クラス図は、システムを静的に描写する機能です。システム開発・運用全般で使用されています。 かつては全体像を表すものを「静的配置図」、用途別には「プログラム配置図」・「データ配置図」などと呼ばれていました。
*用途:
 多くのシステム開発で、機能(こと)やデータ・機器(もの)を表現するものとして、「クラス」と呼び、使用されています。 システム設計業務では、必須のツールの一つです。
*解説:
 UML2クラス図では、システムのクラスと、その相互関係(継承、集約、関連など)、クラスの操作と属性を表します。 クラス図は、概念/ドメインモデリングや詳細設計モデリングなど、さまざまな目的に使います。また、標記方法を変更することによって、ロバストネス分析に使用します。 『In Use Case Driven Object Modeling With UML』においてDoug RosenbergとKendall Scott(1999)が技法を説明しています。 その基本となる考えは、ユースケースのステップを分析することで、ユースケースが十分にロバスト(堅牢)で、開発対象のシステムの利用要求を表現していると確認できるということです。 ロバストネス分析のもう1つの用途として、ユースケース内で呼び出されるロジックをサポートするオブジェクトやオブジェクトの責務の候補を識別するために使うことができます。 (基本知識は後述予定)

4-2.コンポーネント図

*要約:
 コンポーネント図は、大雑把なソフトウェアコンポーネント(複数のプログラム)と、 そのコンポーネントのインターフェース(要求と提供)をモデリングすることができます。
*用途:
 アーキテクチャモデリングの初期作業で使用されています。
*解説:
 システムのアーキテクチャがざっとどのようなものになるかを確認することに焦点を合わせます。

4-3.コンポジット図

*要約:
 コンポジット図(Composite Structure Diagram) は、複合構造図とも呼ばれ、 ハードとソフトの各コンポーネント(プログラムや装置のかたまり)の構造や相互作用を表現します。
*用途:
 機器設計で使用されます。
*解説:
 図は、任意の種類の分類子(クラス、オブジェクト、インターフェースなど)のインスタンスを表します。 コンポーネントで使用するプロパティは、必要に応じて分類子の箱の中に示します。

4-4.配置図

*要約:
 配置図(deployment diagram) は、 処理ノードやそのノード上で動くコンポーネントが実行時にどう構成されるかを静的に表します。
*用途:
 アプリケーションが複数のマシンに配置される場合のシステム構成の表現に使用されます。
*解説:
 システムのハードウェアと、そのハードウェアにインストールされたソフトウェア、 種類の異なるマシン同士を接続するためのミドルウェアを表します。

4-5.オブジェクト図

*要約:
 オブジェクト図 は、 インスタンス図と呼ばれ、クラス図から導出する実現するオブジェクトを要素として記述します。
*用途:
 オブジェクトおよびオブジェクト間の関係の「実際の」例を調べるときに役に立ちます。
*解説:
 記述の方法はクラス図と全く同一です。

4-6.パッケージ図

*要約:
 パッケージ図は、 モデル要素をグループに整理し、図を単純に読みやすくするためのUMLの要素を図示したものです。
*用途:
 パッケージはファイルフォルダの形で表します。これはUMLのどの図においても使うことができます。
*解説:
 よく見かけられるのはユースケース図とクラス図およびデータエンティティ(ER図:UMLではありませんが、システム開発では利用率の極めて高いダイアグラム)です。 この3つのモデルは大きくなる傾向があるため(整理が望ましい場合が多い)、パッケージ化し簡略に記述します。


UML断章1-以上


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