4月です。今年の東京の桜は早く、だいぶ緑も増えてきましたね。
これから初夏に向い、色とりどりの花を楽しめる季節になりました。
今日は
ラフマニノフ(1873.4.1~1943.3.28)の150回目のお誕生日です。
ラフマニノフを象徴する花といえばライラック(リラの花)。5月頃に見頃を迎える薄紫の可憐なお花です。
1902年の4月、従姉のナターリヤと結婚することになったラフマニノフは、妻に捧げる12曲の歌曲集op.21を書きました。その第5曲が「ライラック」です。
ロシアの自然を愛し、その中で音楽を作り出していたラフマニノフの生家と別荘には、毎年ライラックの花が咲き誇り、彼はこの花がとても好きだったそうです。美しく可憐なこの歌曲は、のちにラフマニノフ自身によってピアノ独奏曲にも編曲されました。
私が幼少期を過ごした家の近所にもライラックの小径があって、毎年きれいな花が咲くのを楽しみにしていました。特に意識しているわけではないのですが、ラフマニノフの曲を弾く時は、なんとなく紫色のドレスを選ぶことが多いです。
「音楽とは、心からやってきて、心にだけ語りかけるもの」というラフマニノフの言葉にあるように、彼の心の中にはいつもライラックの紫色があって、そこから花を咲かせるように生まれてきた美しい名曲たちは、この色を纏(まと)っているのかもしれませんね。