アレクシス・エマニュエル・シャブリエの『10の絵画的小品』は、1880年〜1881年、彼が39歳から40歳にかけて作曲されたピアノ小品集です。1880年に18年間務めた内務省を辞し、本格的に作曲家として第2の人生を歩み始めたシャブリエが初期に手掛けた作品で、1曲ごとにユニークな個性を放ち、シャブリエ独自の世界観を存分に発揮した彼の代表作です
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10曲中、第6曲「牧歌」、第7曲「村の踊り」、第4曲「木陰にて」、第10曲「スケルツォ・ワルツ」の4曲は、後に『田園組曲』としてシャブリエ自身により管弦楽に編曲されました。
『10の絵画的小品』及び『田園組曲』の終曲である「スケルツォ・ワルツ」は、シャブリエのピアノ曲の中でも特に人気が高く、単独で演奏されることも多い作品です。小気味よい軽快なリズムと独特のダイナミクス、明るく転がるような輝かしい旋律は非常に「フランス的」で、演奏技術はさほどの難易度ではないものの、演奏効果の高い、華やかな傑作です。