ピアノ(ピアノフォルテ)という名前は、同じ鍵盤楽器であるチェンバロが弦をはじいて音を出す構造のため音量の調節が効かないのに対し、弦をハンマーが叩く事によってピアノからフォルテまで幅広いダイナミクスを表現することができる楽器、という意味から付けられています。そして音量だけでなく、あらゆる楽器の音域を出すことが出来る楽器として、オーケストラの代わりに伴奏などで使われたりしていました。
例えばムソルグスキーの『展覧会の絵』のように、もともとピアノ曲として書かれた作品が管弦楽に編曲されたものもあれば、リストの数々の作品のように別の楽器のために書かれた作品をピアノ曲に編曲したもの、またピアノ曲ですが別の楽器の音色を想定してメロディーが作られているもの等、ピアノという楽器の可能性と魅力は多くの作曲家を魅了してきました。
ピアノを演奏する際、メロディーから感じ取れるその曲の情景をよく思い描いてみて下さい。弦楽器の緩やかな流れや管楽器の伸びやかな響き、歌声や会話など、様々な音色を思わせるメロディーが出てくると思います。そのイメージを大切に、88鍵を使って多彩な表情で生き生きと演奏して下さい。
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