gpz19.htm Last update 2000/07/29

アルマイト工場見学


さて、さて。物欲にまみれ、部屋の中にパーツが転がっているのを眺めて悦に入っていたのですが、どうも、キャリパーサポートがねぇ・・・なんか寂しいのだ。(/_;)
と、いうわけでサポートにアルマイト加工を施すことにしました。

アルマイトをお願いしたところは、リンク集にも載せてある光研電化(有)です。
(場所などの詳細情報は光研電化(有)のHPを参照して下さいませ。)

年末の忙しい中、お邪魔してアルマイト加工の様子を見学させてもらいましたので、その様子などをご紹介しますです。(ん〜、なんか小学生の頃の社会科見学のようだ。(^-^)/)

まず、アルマイトって一体何なのか?みなさんはご存じでしょうか?
あまりわからないという方は、光研電化(有)のHPをご覧下さい。アルミとアルマイトについて色々書かれておりますよ。

まぁ、素人の私が簡単に説明すると、
アルミニウムもしくはアルミニウム合金を電極として電解溶液の中に入れて電流を流してやるとプラス電極と化したアルミの表面で電解溶液のマイナスイオン分子と化学反応を起こして酸化被膜を生成するわけですな。この酸化被膜によるコーティングのおかげで、錆びなくなるのです。

「え?アルミって錆びないものじゃないの?」と思われていた人はいらっしゃいますか?
錆びないアルミってのはしっかりと表面がアルマイト加工されている物なのですってよ。

ほら、昔使っていたアルミの弁当箱の底に梅干しをおいておくと白く変色して終いには穴が開いちゃったでしょ?梅干しの酸でアルミが浸食されちゃったってやつですね。
酸化被膜が無くなっているとそんなことになるんですよ。(って、いつの時代だよ(^_^;)

で、その酸化皮膜のかかったアルミを染料の中に漬け込んでやると、酸化被膜の中に染料が染み込みます。
そして、染まった色を定着させると出来上がり・・・ってなわけです。

と、前振りが長くなってしまいましたが、とにかくキャリパーサポートに色を付けるのだ。
さて、何色にしようか・・・

当初はフロントフォークのアウターチューブと同系色にしようかと思っていたのですが、天からの啓示がありまして、キャリパーと同系色にしてみることにしました。(^_^;
HPでカラーサンプルをチェックしてみたらゴールドには普通のゴールドシャンパンゴールドの二種類しか有りません・・・(-_-;ウムムムム

普通のゴールドではちょっと色が濃過ぎで、シャンパンゴールドだと薄過ぎ。
HPを管理されているSHINさんにメールで問い合わせたところ、ファーストゴールドという新色を出したそうな。
これが、ブレンボキャリパーのゴールドに一番近そうなのでサポートの色はファーストゴールドに決定。(^-^)/

午前11時くらいに光研電化(有)に到着したところ、SHINさんがお出迎えしてくれまして、早速アルマイト作業に取りかかっていただきました。

まずは、キャリパーサポートを金枠に取り付けます。この金枠から電気を流すんですね。
(キャリパーサポートの他にもトップブリッジのキーシリンダーを固定するカラーも黒アルマイトをお願いしちゃいました。)

サポートを金枠に取り付ける
SHINさん
金枠に取り付いた
サポートとカラー

次ぎに表面の洗浄とアルマイトの剥離作業。
表面が綺麗じゃないと染料が上手くのってくれないのです。今回のパーツは買ってすぐに持ち込みましたので錆などは無いんですけど、アルマイトをお願いするならまずは、パーツを綺麗に洗浄して錆を落としてからお願いすると綺麗に仕上がりますよ。
この洗浄では高濃度のアルカリ溶液の中に漬けますので、ちょっとした油脂や錆などは落ちてしまうそうですけどね。
(このアルカリ溶液の成分は・・・企業秘密なんだよぉ〜ここで出来る限りパーツを綺麗にしておくからこそ仕上がりがよくなるのだ。)

アルマイトの剥離作業というのは、すでにアルマイト処理されている物に対して染料がのせられないので一度、酸化被膜を落としてしまうのです。その時に、今までの色も落ちて銀色の無垢なアルミの状態に戻るわけですね。
(アルマイトされているかどうかは電圧や抵抗値を測定するテスターで表面の導通を調べて、導通がなければアルマイト処理されているということがわかるんですよ。ま、酸化被膜が絶縁体だっていうことですな。)

左奥の槽が洗浄槽 沢山の水槽で洗浄液を
洗い流します

洗浄・剥離を行ったパーツにはアルカリ溶液が付着しているので、水でよく洗います。たくさんの水槽に順番にパーツを漬けて次第にアルカリ溶液を流してしまうということをやってます。
この辺の作業が雑だと仕上がりに影響が出てくるとのことでした。
(もちろん、光研電化(有)は丁寧な仕事をしてますよ。(^-^)/)

水で洗ってもやっぱり、アルカリ溶液はしつこく残ってしまうので、中和作業として硝酸の水槽へ漬けてやります。これで、アルカリ成分は完全に無くなりますね。
そして、また水洗い。

さてさて、今度は希硫酸の水槽に漬けて電流を流します。
まぁ、バッテリーの逆パターンと言ったところでしょうか。
さっきも書きましたけど、アルミは陽極に、水溶液は陰極になってますから、水溶液中のマイナスイオンがアルミ表面上のプラスイオンに引き寄せられて表面上で化学反応するのです。
電流の流す時間によって反応している時間が変わるから被膜の厚さが変わってきますね。

酸化皮膜が生成されたところで今度は染料の中に漬け込みます。
酸化皮膜は多孔性の物質(いわゆる孔がぼこぼこ空いているわけ)この孔の中に染料の粒子が入り込んで色が付くわけです。
ま、お肌の毛穴に汚れが詰まってしみそばかすになるって感じですかね。ヾ(・・;)ォィォィ違うってば
ここで、色の濃度をチェックするために、キャリパーを持っていって色合わせ。なかなかいい感じに染まってきました。漬け込む時間で濃淡が変わってくるのだ。(^-^)/

色が染まったら、再び水洗い。そして、封孔という行程です。
この封孔というのは文字通り孔を封じるんですね。封孔剤を塗布してあげると、酸化皮膜の孔が塞がって、染まった色を定着させて色落ちを防ぐわけです。
この行程も丁寧にやらないと色落ちの原因になります。
無色(白)のアルマイトは酸化皮膜を生成した後で染色の行程をすっ飛ばして封孔作業をするんだって。

封孔が終わったら、やっぱり水洗い。(とにかく一行程ごとに綺麗に水で洗うのさ)
そして、乾燥させたら出来上がり。

ここまでの行程の所要時間は約2時間。
(アルマイトって水と電気と手間のかかるものなんだねぇ〜)


下の写真が出来たてホカホカのキャリパーサポートとカラーです。(本当にホカホカなんだって)

完成したパーツ

加工前の写真と見比べると・・・ん〜いい感じ、いい感じ。

SHINさん他、光研電化(有)のみなさま、お忙しいところお相手いただきありがとうございました。

98年12月26日作業
アルマイト加工料・・・4000円也


[Back] [Next]


[RETURN]