モーリッツ・モシュコフスキ(Moritz Moszkowski 1854.8.23〜1925.3.4)は、ポーランド出身、ユダヤ系ピアニスト・作曲家です。指導者としても大きな功績を残し、数多くの後進を輩出しました。
1854年8月、プロイセン王国のブレスラウ(現ポーランドのヴロツワフ)の裕福な家庭に生まれたモシュコフスキは、幼い頃から楽才を現します。1865年にドレスデンの音楽院に、69年にはベルリンのシュテルン音楽院に入学し、ピアノと作曲を学びました。のちにベルリンに新設されたクーラック新音楽アカデミーではテオドール・クーラック本人に師事し、早々に指導者の職を任され、同音楽院で教鞭を執るようになりました。
ピアニストとしてのデビューは1873年。演奏を聴いたリストの目に留まり、自作のピアノ協奏曲を2台ピアノでリストと共演する機会を得るなど、次第にヨーロッパ各地に活動の場を広げていきます。指導者としての評判も非常に高く、また指揮者としても活躍し、1897年にパリへ拠点を移した際には、その人気は大変なものでした。
しかし第一次世界大戦勃発により、投資債権の大半を失うことになったモシュコフスキは、健康状態の悪化も相まって、晩年は借金に苦しみ音楽活動もままならない状態でした。
作曲家として残した作品は200曲以上にも上ります。多数のサロン向けピアノ小品のほか、室内楽やオペラ、バレエ音楽なども手掛けました。ピアノ学習者にとっては練習曲のイメージがあるかも知れませんね。
モシュコフスキの作品はピリッと上品な佇まい。美しく洗練され優雅でありながら、ある一線から外へはみ出すことのない生真面目さも感じます。多くの小品の中からお気に入りの1曲を見つけてみてはいかがでしょうか。