6月24日は「ドレミの日」です。
ひらがなを覚えて絵本を読めるようになっていくように、ピアノが弾けるようになるために最初に覚える7つの音の名前「ドレミファソラシ」は、実はイタリア語。今日からちょうど千年前、1024年6月24日に、イタリアの修道士によって付けられたのが始まりです。
中世イタリアの修道士グィード・ダレッツォは、音楽教師でもあり、聖歌隊に歌の指導をしていました。当時、1オクターブを7つに分ける音程の概念は既に存在していたものの、音そのものに名前はなく、音の高低は耳からの感覚でのみ伝えられていました。
ある日、ダレッツォは「聖ヨハネ賛歌」という讃美歌の指導にあたりますが、隊員たちはなかなか曲を覚えられません。この讃美歌は各節ごとに音程が一音ずつ上がっていく曲で、このようなラテン語の歌詞が付いています。
Ut queant laxis
Resonare fibris
Mira gestorum
Famuli tuorum
Solve polluti
Labii reatum
Sancte Johannes
いかがですか?
考えたダレッツォは、覚えやすくなるように各節の初めの音に歌詞の頭の名前を付けたのです。
元祖「ドレミの歌」の誕生は、”Ut-Re-Mi-Fa-Sol-La”の6音から始まりました。その後、発音しにくい”Ut(ウト)”は「主」を表すDominusの”Do”に変更され(16世紀ごろ)、17世紀になってから7つ目の音には”Si”が付けられ(歌詞の最後
Sancte
Johannes→Sj→Siという説も)、実に600年以上もの年月をかけて現在の「ドレミファソラシド」になったのです。
音名は国によって様々です。英語やドイツ語のABC、日本語のイロハ(調性以外ではあまり使わないけれど…)と違い、音の名前としてのみ存在するこの並びは、「ドレミの歌」のおかげで小さな子供でもスラスラと覚えられるようになりました。そのルーツは1000年の昔に遡り、今なお同じ手法で伝えられているとは、とても感慨深いですね。