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                ご あ い さ つ                  
 古本ほたるのホームページにお越しいただきありがとうございます。

 やっと念願の古本屋を開くことができました。
 18歳の時に初めて足を踏み入れた古本屋が、日比谷書店(東京の日比谷とは関係がありません)というところでした。
 何件か古本屋が並んでいましたが、一番広そうな、客が目立たないお店を選んで入りました。
書棚が並ぶお店の一番奥には、一段高くなった畳のスペースがありました。そこにはふみ机が置かれ、店主と思われるおじ(い)さんが、座って本を読んでいました。店主は、入ったお客に「いらっしゃい」の一言もかけるわけではなく、上目づかいにチラッと視線をよこす程度でした。しばらくするとおば(あ)さんが、さらにその奥の扉を開けて出てきて、おじ(い)さんに声をかけました。夫婦と思われる二人は、もっと若かったのかもしれませんが、当時の私には、(い)や(あ)が入りそうな年代に見えました。店の中の客は2人程度で、あたりは静まり返っていました。
 それだけの風景でしたが、私には、この古本屋のたたずまいが、いつまでも記憶に残り、人生のわずかな期間でもいい、こんな風景に自分を置いてみたいと思いました。
 「ビブリア古書堂」のような広い店舗は、とうてい持てそうにないので、せめてインターネットの古本屋を開くことにしました。
 今、手にしている父たちの本が、底をつくまで(それは無理か・・)続けられれば幸いです。 
                                          
                            2013年 春   店主 敬白